坐骨神経痛の薬物療法・理学治療・運動療法

坐骨神経痛の薬物療法

坐骨神経痛の薬物療法で使われる薬剤について、まとめてご説明しましょう。

 

(1)痛みの緩和
主として使われる消炎鎮痛薬は、非ステロイド性の内服薬と坐薬です。
坐骨神経痛の治療では、長期間の投与が必要となることが多いため、胃腸障害などの副作用を防ぐために胃腸薬が一緒に処方されることが多いでしょう。

 

(2)しびれの緩和
坐骨神経痛のしびれに対しては、ビタミンB12製剤の内服薬を用いるのが基本となっています。
ビタミンB12製剤には副作用の心配がなく、神経組織障害に対する高い効果が認められています。

 

(3)筋肉の緊張緩和
筋弛緩剤(筋緊張弛緩剤)は、消炎鎮痛剤と同じく胃に負担をかける副作用があります。
また、めまいやふらつきなどの副作用もあるため、服用時の行動には十分な注意が必要です。

 

(4)血流障害の改善
脊柱管狭窄症からくる坐骨神経痛の場合には、原因の一つと考えられる神経組織の血流障害を改善する目的で、PG(プロスタグランディン)製剤の内服薬や注射などが使われます。

 

PC製剤は代表的な循環障害改善薬で、血管を拡張するとともに血液を固まりにくくする効果があります。
そのため、症状に歩行障害が出ている場合にも、PG製剤が積極的に使われます。
妊産婦の坐骨神経痛の治療では、おなかの赤ちゃんや授乳への影響を第一に考えて、副作用の心配のない薬が使用されます。

 

そして、病院によっては漢方薬を採用しているところもあります。
なお、処方される薬についてや服用後の症状の変化などで疑問や心配がある場合には、遠慮せずに医師にしっかり相談するとよいでしょう。

 

 

坐骨神経痛の理学治療

理学療法とは、けがや病気、障害、高齢などによって身体の運動機能が著しく低下した患者に対して、物理的手段を用いて、機能の維持・回復・改善を目的に行われる治療法です。
主な理学療法には次のようなものがあります。

 

温熱療法…患部や全身を温めて血液やリンパの流れを改善し、症状の緩和をはかります。
ホットパックで患部を温める方法や、遠赤外線や極超短波(マイクロウェーブ)などの機器を使用する方法が多く実施されています。
温泉入浴や岩盤浴なども、専門医の指導に基づいて行えば温熱療法となります。
温熱療法は、坐骨神経痛のつらい痛みやしびれについての対症療法であるだけでなく、重症化の予防にも高い効果があります。

 

牽引療法…背骨を牽引して伸ばすことで、椎間板による坐骨神経への圧迫を減少します。
椎間板ヘルニアの治療法として昔から行われている方法で、理学療法士が牽引の負荷を調節して行います。
坐骨神経痛の場合は、椎間板の移動によって周辺の神経が刺激されて、痛みやしびれが一時的に強まることもあります。

 

運動療法…運動によって低下した機能の回復をはかります。
リハビリという言葉で広く知られているとおり、歩行やストレッチなどの身近な運動をはじめ、専用の運道具を用いたトレーニングが行われます。
運動療法は、人間が本来持っている治癒力や抵抗力を高める意味でも効果があるとされ、坐骨神経痛の治療効果も認められています。

 

このほか、接骨医や整体院、そしてカイロプラクティックで行われる施術なども温熱療法に含まれますが、医療行為として認められているものとそうでないものがあります。

 

 

坐骨神経痛と運動療法

運動療法とは、運動医学の発展や近年のスポーツ研究に基づいて、生活習慣病の予防や手術後のリハビリテーションに活用されている療法です。
総合病院や整形外科の専門病院の多くは、専任の理学療法士が運動療法を担当し、運動の種類や組み合わせ、行う時間や使用する器具などを決定しています。
そして、坐骨神経痛を含む腰痛や関節痛の改善にも、運動療法を取り入れる病院が増えていて、その効果実績が評価されています。

 

そのため、坐骨神経痛で病院へ行く際には、運動療法のプログラム提供を行っている病院を選択するのもよいでしょう。
運動療法で行う運動の種類は特別なものではなく、有酸素運動と等張性運動が採用されています。
有酸素運動とは、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など、全身に酸素を取り入れながら行う運動です。

 

一方、等張性運動とは、ストレッチなど筋肉の収縮と弛緩を交互に繰り返す運動のことです。
どちらも身近な運動で、すでに自己流で実践している人も多いでしょう。
けれども、坐骨神経痛の痛みやしびれが出始めると、運動をやめてしまうことになりがちです。

 

また、痛みやしびれがあるのに無理をして運動をすると、体に負担がかかってしまい症状を重くしてしまうおそれもあります。
坐骨神経痛の症状緩和を目的として運動を行う場合は、やはり専門の知識を有する人の指導を受けるとよいでしょう。

 

そして、自宅でも行えるプログラムを作成してもらい、たとえ少しの時間でも毎日続けることが大切です。
運動療法は、症状の緩和とともに、重症化と再発の防止に効果を発揮します。