妊産婦・更年期障害と坐骨神経痛

妊産婦と坐骨神経痛

ここ数年の間に、妊娠・出産によって坐骨神経痛になる女性が増える傾向が高まっているといわれています。
その主な理由として、妊娠前のダイエットや運動不足による筋肉量の低下と、つわり中の栄養不足が挙げられます。
そうでなくても、妊娠中は赤ちゃんの成長とともに腰椎や骨盤に重みがかかり、特に妊娠後期になると圧迫も加わって坐骨神経痛になることがよくあります。

 

また、妊娠中のホルモンのバランスも、坐骨神経痛の起こる理由の一つとされています。
妊婦の坐骨神経痛については、よほど強い痛みがない限り特別の治療は行われず、多くの場合は楽な姿勢や栄養摂取、休息などの指導を受けるだけです。
痛みやしびれが強く出た場合は、おなかの赤ちゃんに影響の少ない湿布やビタミンB12剤などが処方されます。

 

いちいち大げさにする必要はありませんが、腰痛や下肢のしびれを、妊娠中はよくあることだからと考えて、あまりに甘くとらえるのは心配です。
もしも横になった状態でも、腰から下肢にかけて強い痛みやしびれを感じる場合は、腰痛や坐骨神経痛とは別の病気が心配されます。

 

なかには、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を発症している場合もあるので、がまんせずに産婦人科の医師に相談して、整形外科での検査も受けるとよいでしょう。
たとえ椎間板ヘルニアだとしても、たいていは分娩に支障はなく、通常の出産ができます。

 

また、赤ちゃんに影響のない成分の鎮痛剤で、椎間板ヘルニアおよび坐骨神経痛の痛みを抑えることもできます。
なお、妊娠や出産で発症した坐骨神経痛のほとんどは、赤ちゃんのお世話が少し楽になる4か月頃までに自然に治ります。

 

 

更年期障害と坐骨神経痛

さまざまな不快症状が出る更年期障害ですが、坐骨神経痛は直接的な症状には含まれていません。
けれども、もともと慢性的に腰痛があった人を中心に、更年期になって坐骨神経痛になる率が高まります。
なかでも多いのが、梨状筋症候群を原因とする坐骨神経痛です。

 

その理由は、ホルモンのアンバランスだけでなく、筋肉や関節の力が弱まって腰にかかる負荷が高まるためといわれています。
そのため、更年期に坐骨神経痛を発症した場合には、婦人科での治療と整形外科での治療を組み合わせて行う必要があります。
婦人科では、不足するホルモンの働きを補う内服薬の処方などによって、ホルモンバランスの乱れを緩和していきます。

 

一方整形外科では、筋肉、関節、骨について、それぞれの状態と機能の衰えを調べ、加齢による弱まりを防ぐ治療などを行います。
そしてどちらの科でも、つらい痛みやしびれに対する対症療法とともに、症状の悪化を防ぐための生活指導を行います。
年齢や体力に応じて、食事や睡眠、運動など、日常生活で留意すべき点について具体的なポイントが示されるので、きちんと実行するとよいでしょう。

 

なお、更年期障害についての情報が豊かになるにつれて、更年期障害は病気ではないという認識が強まり過ぎていることが心配されています。
腰痛でも手足のしびれでも、痛む範囲や痛みの度合いが急に強まったり、しびれる時間が長くなったりした場合には、早めに病院で診察を受けましょう。
特に、下肢のしびれについては、坐骨神経痛の前兆や糖尿病の症状としてあらわれる場合もあるため、十分な注意が必要です。