梨状筋症候群・脊柱管狭窄症が原因の坐骨神経痛

梨状筋症候群が原因の坐骨神経痛

梨状筋は、臀部の深層にある筋肉で、すぐ下を坐骨神経が通っています。
梨状筋はもともと単独の機能を担う主導筋ではなく、臀部にある筋肉の機能を補助する役割を果たしています。
梨状筋症候群は、梨状筋とその周辺にある筋肉、大臀筋、中臀筋、小臀筋のそれぞれに衰えや弛緩が進んで、互いの機能を補いきれなくなって起こる疾患です。

 

大臀筋は、歩行や階段の上り下りなどで脚を後方へ振り上げるために使われる筋肉で、昔の人に比べて歩く時間が減った現代人の場合、大臀筋を使う場面が減少しています。
さらに、長期にわたる運動不足や加齢によって働く機会を失った大臀筋は、次第に伸縮能力が低下して弛緩していきます。

 

そうなると今度は、中臀筋や小臀筋ががんばって大臀筋の働きを補おうとするのですが、もともと自分が担っている役割だけでも大変なので、そう長くは持ちこたえることができません。
やがて疲労が溜まった中臀筋と小臀筋は、かたくこわばり、肥大していきます。
その結果、梨状筋が圧迫され、本来の位置から下へ下へと押し込まれていきます。

 

梨状筋症候群の主な症状は、お尻の裏側から太もも、ひざの裏からくるぶしへと走るピリピリとしたしびれで、坐骨神経痛神との区別がほとんどつきません。
そのため病院での治療でも、梨状筋症候群の症状を坐骨神経痛の痛みの1パターンとしてとらえるところもあるようです。

 

梨状筋症候群を防ぐには、臀部や太もものしびれに早く気付くことが大切です。
初期の状態でインナーマッスルといわれる筋肉トレーニングを行うと、坐骨神経痛に至る前の段階でくい止めることができるといわれています。

 

 

脊柱管狭窄症が原因の坐骨神経痛

脊柱管狭窄症は、椎間板ヘルニアと並んで、坐骨神経痛の主な原因となる疾患です。
脊柱管は、脊椎の中にある空洞で、脊髄中枢神経の通り道になっています。
脊柱管狭窄症は、主に腰椎すべり症や腰椎分離症によってその空洞が狭まり、中を通る神経を圧迫して発症します。

 

脊柱管狭窄症では少しずつ神経圧迫が進んで、最初はちょっとした違和感を覚え、しばらくすると重さやだるさを感じるようになります。
そして症状が進むと、強い疲労感やしびれ、さらには立っていられない、歩けないといった状態になっていきます。
脊柱管狭窄症で最も特徴的な症状は、「間欠跛行(かんけつはこう)」とよばれる歩行障害です。

 

ふつうに歩けていたはずなのに、5分、10分と時間が経つうちにだんだんと足が重くなり、そのうちに極度の疲労に襲われて痛みも感じるようになり、最後には立っているのが困難になります。
この立っていられないほどの痛みや疲労感は、体を前かがみにして少し休憩すると、うそのように消え去ります。

 

そのため、たびたび経験するようになるまでは、単なる疲れと感じて見過ごしてしまう人も多いようです。
けれども体の中では脊柱管の狭窄が進んでいて、やがて坐骨神経痛へ至ると、つらい痛みとしびれがずっと続くようになります。

 

脊柱管狭窄症に関連して起こる坐骨神経痛の治療では、歩行障害などの対症療法とともに痛みの根源に対する治療が並行して行われます。
また、骨格のゆがみ矯正や筋肉のアンバランスを整えることによって、重症化を防ぐ治療も行われています。

 

 

その他の病気が原因の坐骨神経痛

坐骨神経痛は、椎間板ヘルニアや梨状筋症候群、脊柱管狭窄症、腫瘍などによる坐骨神経の圧迫によって起こることがわかっています。
これらは、脊椎周辺の構造や筋肉の状態が正常でなくなることによって発症する病気です。
一方、帯状疱疹などのウィルス感染症やアレルギー性の病気に関連して坐骨神経痛が起こることがあります。

 

また、病気ではありませんが、ぎっくり腰が引き金となって坐骨神経痛が出たり、妊娠・出産時にかかった腰椎や骨盤への負担が坐骨神経に影響を及ぼして坐骨神経痛が出ることがあります。
そして、慢性期の坐骨神経痛の場合は、自律神経失調症やストレス、ホルモンのアンバランスなどとの関連もあると考えられています。

 

実は、これらの不調からくる坐骨神経痛がやっかいなのです。
もちろん、椎間板ヘルニアなどの治療も大変ですが、例えば手術によって椎間板ヘルニアの問題がうまく解決すると、坐骨神経痛もすっきりと解消します。
けれども、自律神経やホルモンバランスなどにかかわる体調の悪さは、一気に完治というわけにはいきません。

 

そのため、坐骨神経痛についても、うまく付き合いながらつらい痛みやしびれを治めていくことが大切です。
そこで最も効果的とされるのが、古くから万病の元といわれる冷えと血行不良の改善です。

 

特に女性の場合には、冷えの症状と坐骨神経痛が重なっていることが多いので、まずは体から冷えを徹底的に追い出すことに治療の主軸を置くのもよいでしょう。
最近は、婦人科で処方される漢方薬が、坐骨神経痛の緩和でも高い実績を上げて評価されています。